溺愛ラバーズ

「もうすぐ朝食出来ますからね。」





俺の方を振り向き、満面の笑みを見せてくれる。





「朝飯いらない、行ってくる。」

「えっ?樹さん!?ちょっとまっ…。」





追い掛けて来るまりあを、一度も振り返らず家を出た。





こうすれば、俺が嫌になり、一緒に住むのも苦痛で顔を見るのも嫌になってくれるといいんだが。





こういう態度を取ってれば、まりあの方から婚約解消してくれるなんて打算的だとは思うがこれしか思いつかない。





会社に着くと、社員はまだ少なく3人しかいない。





自分のデスクに着き、パソコンを立ち上げやり残した仕事を済ませる。





「わっ!今日は課長が一番のりだ!」


「えー!?珍しい!」


「彼女と喧嘩したんですか?」





耳に入ってくる声に思わずため息が漏れ、顔をしかめる。





「課長!どうなんですか?」

「やっぱり喧嘩ですか?」

「もう、嫌い!鬼!なんて言われたんじゃないんですか?」





上司に向かってよくもまあ言いたい放題言えるもんだ。





「お前らっ、さっさと仕事しろ。」