溺愛ラバーズ
「おい、村角随分濡れてるが、そんなに雨降ってたのか?」





新しいおしぼりで服に着いた雫を拭きとってる村角。





「そおなんですよ!会社出たら凄い降っててビックリですよ。男の人はいいですよねー。」


「何が?」


「だって新名部長、奥さんと相合い傘してましたよ!私も結婚したら旦那さん迎えに行ってあげたーい。」





相合い傘ねー…どこがいいんだ。





「あっ…でもやっぱり嫌かも。」




いきなり顔をしかめた村角。





「会社の外で女の人が傘さして立ってたんですよ。たぶんうちの会社に彼氏か旦那がいるから迎えに来たんじゃないんですかね。」


「いいじゃないですかー。何が嫌なんですか?」


「傘さしてるとはいえ、かなり濡れてたのよ?待ちぼうけは嫌じゃない。」


「ロビーで待てばいいのに。」


「でしょ?だから、誰か待ってるんですか?お呼びしましょうか?って聞いたんだけど、気にしないで下さいって言われちゃってねー。」





運ばれてきたビールを飲みながら、止まる事なく話し続ける村角。



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