溺愛ラバーズ
「課長〜、なんかやらかしたんですか?」





課に着くなり、部下にそう聞かれる。





「お前は仕事しろ。」


「はいはーい。」





その抜けた返事にため息が出る。





俺より5歳年下の長池。





立派な社会人なのに中身は子供だな…。





仕事中は結構真面目なんだが集中が切れるとおちゃらけたりする。





黙ってればいいんだが…。




「橋本!ここ間違ってる。やり直しだ!」


「は、はい!」





こうやって毎日声を張り上げてる。





厳しいだの冷たいだの言われ放題。





でも、そんな事はなれてしまった。





言いたい奴らには言わせとけばいい。





昇格出来るならなんとも思わない。





この会社は、年齢は関係なしに有能な者が昇格して行く。





俺の年齢で課長なのも珍しくはない。





何十年勤めていても、成績が上がらなければ昇格は出来ない。





今の会長からそういう方針になったらしい。





カタカタというキーボードを叩く音が何重にも重なって心地いい。





この音を聞くと気が引き締まる。



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