幸せな結末
「できたよ」

美羽ちゃんがそう言って、テーブルのうえに丼を置いた。

そこからふわりと、かつおだしのいい香りがしてきた。

丼の中を覗き込んで見ると、たまごとネギが入っているうどんだった。

「こんなものしかできなかったけど…」

そう言った美羽ちゃんに、
「いや、充分だよ。

ありがとう」

俺は箸を持つと、うどんをすすった。

「美味しい…」

お世辞でも何でもない、正直な感想だった。

「ホント?」

美羽ちゃんが嬉しそうに言った。

「ホントだよ、美味しい」

俺が笑いながら言うと、美羽ちゃんはホッとしたような笑顔を見せた。

「よかった、口にあわなかったらどうしようかと思ってた」

そう言った美羽ちゃんに、
「結構俺の口にあってるよ」
と、俺は言った。
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