幸せな結末
「今頃母さん、友達ンところを回っているんじゃないかな?」

実加ちゃんは他人事みたいに言った後、クスリと笑った。

「――け」

小さな声で、一也さんが何かを言った。

「一也さん?」

私は一也さんの名前を呼んだ。

「今すぐ出て行け!」

一也さんが怒鳴った。

今まで聞いたことのない一也さんの怒鳴り声に、私の躰はビクッと震えた。

あんなに怖いものを聞かされたと言うように、美香ちゃんは全く動じていない。

「あ、そう」

あっさりとした口調で、美香ちゃんが言った。
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