幸せな結末
「何かごめんね」

ふとんに入るなり、一也さんが言った。

「えっ?」

何のことかと思って聞いた私に、
「せっかく一緒に暮らし始めたって言うのに、大事な初日が台無しになっちゃってごめんね」

一也さんが言った。

ああ、そう言うことか。

「気にしてないよ」

私は言った。

「一也さんのお母さんともいろいろ話せたし」

「おふくろ、何か言ってきたか?」

そう尋ねてきた一也さんに、私は首を横に振って答えた。

「何にも、ただ一也さんが私のことを話していたのには驚いたけど」

そう言った私に、
「そうか…」

クシャッと目を細め、一也さんは笑った。

「あのさ」

一也さんが言った。
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