幸せな結末
「恭吾、遅いよ」

叱るような口調で理彩さんが言うと、
「昨日は理彩のせいでしょ?」
と、東雲さんがニタリと眼鏡の奥で笑った。

理彩さんは顔を真っ赤にさせ、うつむいてしまった。

やっぱり、昨日は大変だったんだなあ。

そう思っていた時、
「おはようございます」

一也さんが起きてきた。

「ああ、おはよう。

昨日はよく眠れたか?」

そう聞いてきた東雲さんに、
「ええ、ぐっすりと」

一也さんは答えた。

少し動揺が見えたのは、私だけの秘密にしよう。

そう思っていた時、
「――あの…」

その声に視線を向けると、美香ちゃんだった。

「美香…」

彼女の姿を見るなり、一也さんが美香ちゃんのところに駆け寄った。
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