幸せな結末
「おふくろから、話は聞いた」

一也さんが言った瞬間、美香ちゃんはうつむいた。

そのとたん、この場が沈黙に包まれた。

私は事態が昨日みたいにならないかと、ハラハラしていた。

「どうしても自分の意志を貫きたいんだったら、ちゃんと親を説得しろ」

一也さんの言葉に、美香ちゃんは驚いたように顔をあげた。

「反対しないの…?」

呟くように聞いた美香ちゃんに、
「反対するも何も、お前がそうしたいんだろ?

俺は反対する気はない」

一也さんはそう言うと、美香ちゃんに背中を見せた。

美香ちゃんは涙をこらえながら、
「ありがとう…」
と、言った。

一也さんは照れ隠しなのか、大げさにため息をついた。

「話は終わったみたいだな。

飯にするぞ」

東雲さんが言ったので、私たちは椅子に腰を下ろした。
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