幸せな結末
行きつけのバーに連れて行ったところまでは、上手く行った。

けど、名前以外までは聞けなかった。

何故なら…と振り返ろうとしたその瞬間だった。

パコンッ

頭に軽い衝撃が走った。

「若宮、さっきから名前を呼んでいるんだが」

丸めた書類を片手に腕組みして俺を見下ろしているのは、南野淳平(ミナミノジュンペイ)課長だ。

彼は去年の秋に名古屋の支社からここに異動してきた。

異性どころか、同性まで好感が持てるルックスが印象的だ。

イケメンのうえに仕事もでき、上司や部下からの信頼も厚い。

何しろ、この会社の社長まで彼をかわいがってるからなあ。

まさにエリート街道一直線と、俺には夢過ぎる話だ。
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