幸せな結末
「あの…最近、新しい子入りませんでしたか?」

そう聞いた俺に、
「新しい子…ああ、楠田さんのことかしら?

あの子が何かしたの?」

山梨さんが聞き返した。

「いえ、そうではないんです。

実はこの前、彼女にお世話になったものですからお礼を…」

我ながら、ウソ丸出しだ。

けど、お世話になったのは事実である。

「あら、そうなの。

楠田さん、優しい子なのよね。

岡本くんも、彼女のことを“いい人だ”って言ってたわ」

お、岡本くん…?

いや、違う。

彼は美羽ちゃんの印象を言っているだけだ。

「楠田さんは、今日の午後から出勤するわよ」

山梨さんに言われ、俺はハッと我に返った。
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