幸せな結末
俺みたいなおっさんよりも、若い男の子の方が美羽ちゃんにはふさわしいんだろうな。

結構、しっかりしたところもあると思う。

「あ…書類、届けてきます」

俺は逃げるように、その場を立ち去った。

書類を届けるなんて、ただの口実だ。

そんな見え見えのウソをつく俺は、相当と言ってもいいくらいにつらかった。

俺の手に持っているのは、主任のメッセージつきの紙切れなのに。

その時、俺の視界にゴミ箱が入った。

俺は手に持っている紙切れをグシャグシャに丸めると、ゴミ箱に押し込んだ。

何してんだろな、俺。

社内恋愛でも、秘密のオフィスラブでも、何でもないじゃないか。

恋する乙女みたいにそんなことを思っていた自分を呪った。
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