幸せな結末
「若宮、そこ間違ってる」

後ろから声をかけられ、俺は我に返った。

「主任…」

「最初から、間違ってるじゃないか」

ため息混じりに主任が言った。

「えっ、あっ…」

手元の書類とパソコンの画面を見比べると、間違いが判明した。

1個ずつずれていた。

「あちゃー…」

弱々しく呟いて、息を吐いた。

完全に、これは新人が犯すミスだ。

何してんだよ、俺。

「すみません、すぐに打ち直します」

そう言った俺に、
「いや、そんなに急がなくてもいいよ。

それよりも、ちょっと休憩しないか?」

主任が言った。
< 45 / 172 >

この作品をシェア

pagetop