幸せな結末
「そう、クリスマスから」

そう言った主任に、
「彼女が俺の携帯電話を拾ってくれたことが、きっかけでした。

それで、年明けに彼女と偶然に再会したんです」

俺は言った。

「なるほど」

主任はコーヒーを飲んだ。

「けど、彼女には自分よりもふさわしい人がいるかも知れない。

そう言うことでしょ?」

そう言った主任に、俺は首を縦に振ってうなずいた。

「告白、しなかったんだ」

主任が言った。

「それじゃあ、悩むのも当然か…」

そう言った主任の左手の薬指に、キラリとリングが光った。

そう言えば、最近主任は結婚したんだっけ。

「告白しようとは思わなかったの?」

ぼんやりとリングを見つめていたら、主任が聞いてきた。
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