幸せな結末
「この書類、届けてきて」

そう言って渡されたのは、ただの紙だった。

『頑張れ』

紙にはそう書いてあった。

「はい」

俺は返事をすると、主任の手から紙を受け取った。

何事もなかったと言うような顔をすると、オフィスを後にした。

「ごめん、待った?」

そう言った俺に、
「いえ、今きたばかりですから」

美羽ちゃんが笑いながら言った。

「水曜日の日、これなくてすみません」

美羽ちゃんが頭を下げた。

「えっ、どうしたの?」

訳がわからなくて、俺は首を傾げた。

確かに、今週の水曜日はメールはこなかった。
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