幸せな結末
覚悟を決めて、自分の気持ちを口に出そう。

けど…俺の意志を邪魔するように、心臓がバクバクと高鳴った。

口から心臓が飛び出るなんて言葉があるけど、今はまさにその状況だ。

俺は息を吸うと、口を開いた。

「美羽ちゃん」

美羽ちゃんの名前を呼んだ。

バクン…と落ちつかないと言うように、心臓が鳴る。

その音をBGMに、俺は目の前の彼女を見つめた。

美羽ちゃんは今日も黒髪を1つに束ね、事務員の制服を着ている。

「俺と、つきあってください」

そう言った瞬間、また心臓が激しく脈打った。

今の状況で、俺の躰にはどれだけの量の血液が流れたのだろう?

この場ではあまりふさわしくないことを、俺は考えてしまった。
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