幸せな結末
「三振、バッターアウト!」

「あんな早いの打てる訳ないでしょー!」

そう言って叫んでいる彼女は負けおしみなのか何なのか…。

ご愁傷様ですと、私は心の中で言った。

「バッター、若宮」

アナウンスが名前を呼んだ。

「えっ、俺?」

呼ばれた一也さんは自分を指差して、驚いた。

いや、どう考えてもあなたでしょ。

「若宮、出番だ」

「はい」

バットを渡された一也さんは返事をした。

「一也さん、頑張ってー!」

背中を見せてバッターボックスに向かう一也さんに、私はエールを送った。

一也さんは私の方に振り向くと、手を振ってくれた。
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