幸せな結末
「ラブラブだね」

んっ?

その声に隣に視線を向けると、
「ぎゃあ!」

ふんわりとした黒髪に黒ぶち眼鏡の男が座っていた。

「あ、ごめんね。

驚かせちゃって」

サラリと前髪を揺らし、男はクスクスと笑った。

「俺は東雲恭吾、若宮の上司」

フッと微笑みながら、東雲さんが言った。

そう言えば、彼に会ったことを思い出した。

確か…前に課長さんが呼んでいるとかって言って、一也さんのところにきたんだっけ。

思い出した私に、
「つきあい始めたばかりだから、ラブラブなものなのかね」

東雲さんは呟いた後、クスクスと笑った。

何だか恐ろしい人だなと、私は思った。
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