幸せな結末
この場の皆様の視線が私たちに注がれる。

か、一也さーん!

自分の顔がだんだんと紅くなって行くのがわかった。

だって恋人同士とは言えど、恥ずかしいんだもん。

しかも公衆の場で!

「一也さん、もういいから…」

私は一也さんの背中をたたいて解放を求めた。

「えっ…ああ、ごめん」

真っ赤な顔で一也さんは私から躰を離した。

もう、死ぬかと思った!

「若宮、やるのは勝手だが場所を考えて行動しろ」

苦笑しながら、黒髪の男が言った。

「はい、すみません」

そう返事をした一也さんは小さくなっていた。
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