妄想な彼女
――――………
―――……
『どうしてっ!?』
劇はお互いの身分を知り、苦しむ―そんなシーンまできた
樹理は父役の観月に詰め寄っている
『わがままを言うな…っ』
台本通り観月は円城の手を払う
―しかし、円城はめまいを起こしたのか、そのまま
バタンっ!
と倒れてしまう
……っ!
部員全員が息を飲む
ゴクリという音が聞こえた気がした
観月は心配そうにしていたが、舞台中ともあり何も出来ない
ざわざわ
客席もなかなか立ち上がらない円城を見て騒ぎ出す
おいおい。やべぇんじゃねぇの…
思わず飛び出しそうになったとき
―バッ
後ろから腕をつかまれた