妄想な彼女



『やっぱり貴方を忘れることなんて出来ない』


『僕達は幼すぎた…例え自分の地位を失ったとしても…君といたい』


『槇斗……』


槇斗と樹理は手を取り合う



――ここまでは良かった


その瞬間、円城は気を失って俺の肩にもたれ掛かってきた

―バフッ


「円城…?」


耳元で囁くが円城の反応は全くナシ。



観客は抱き合うシーンと勘違いしているのか、次のセリフを今か今かと待ち望んでる



舞台袖の方を見ると、観月達がはらはらしながらこちらを見ていた


“どうすりゃいいんだよ”


と口パクで伝える


しばらくすると
“しゃがめ”
と書かれた画用紙を見せられた



…しゃがめ?


一応しゃがんでみて、こっちの方が自然に見えると気付く



でも、その後どうすりゃいいのか分からない



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