妄想な彼女
実力。
《天才》
この言葉を最近、美緒は何度も言っている
俺は新撰組を熟知しているわけではない―
一般的知識しかないが、確かに沖田は剣の才能は他の人とはかけ離れていたことに今回の劇を通してつくづく感じられる
《天才》―という言葉はむやみに使うものではないと思っていた
沖田は《才能が人以上にある》としか俺は認識していないのかもしれない。
《天才》に出逢うことすら、ごくごく一般人の俺にはないのかもしれない
心のどこかで感じていた。
でも、それは前の事。
―今は違う。
ごくごく普通の俺は、とんでもない《天才》に出逢ってしまったの“かも”しれない。
いや―出逢ってしまったんだ。
アイツに―――