妄想な彼女
その後も物語は何事もなく進んでいく



そんな中で俺はさっき会場で見かけた帽子を深く被った男性が気になっていた


別に普通のおっさんって感じなんだけど…
なんか違うっていうかー…

普通高校の部活の演劇…しかも文化祭って言ったら


楽しんで見る…よな?


でもなんか…んんー…
なんて言ったらいいのか分からない…


”見定めてる”(?)みたいな感じ


その男は超真剣に演劇を見ていた…



にしたって変だ。

たかが高校の文化祭だぜ…?

まるであいつを…美緒を審査してるみたいな雰囲気…


なんか変…


俺は顔もちゃんと見れないその男に不信感を抱いていた…


「常陸先輩!!もぉー何してるんですか!?
次は近藤勇の大事な大事なシーンですよ?…そうやって上の空の表情してると、美緒の雷が落ちますよ??」


河辺の声にハッとする


「何見てたんですか?じぃーっと観客席のほうなんか見て…」

「なんでもねぇよ。」



そう言って俺は次の出番の準備を始めた


(きっと思い過ごしだよな…)



この帽子の男がとんでもないやつで…俺の、いや俺と美緒の”未来”を大きく変える人物になるなんて…

このときの俺は気づくはずもなかった…


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