妄想な彼女





――――――



『最近…近藤さんから手紙が来ませんね…
どうして居られるのでしょう…』



近藤の死から数カ月後…瀕死の状態の沖田は動くことも出来ずただ寝ている日々を送っていた



『……』


近藤の死を知っていた女中たちは口ごもる

『でも…近藤さんなら大丈夫ですよね…』




動くこともまもならない沖田は天井に向かって手を伸ばす


『近藤さんなら…父の果たせなかった思いを叶えてくれますよね…幕府を守り続けてくれますよね』



そう呟くと沖田は優しく微笑み


――息を引き取った




―――――パチパチパチパチ!!!!!







暗幕が下りると同時に割れんばかりの拍手が起こった



「ほら!常陸先輩、何してるんですか?ステージ出てあいさつしますよぉぉ!!」

「--は?聞いてないんだけど!」

「だって言ってませんから。」



河辺の言葉に驚いていると美緒がひょっこり現れて言った


「はぁ!?なんで!?」


「だって前もって言ってたら逃げるじゃないですかー」

「う゛!」

「さっすがぁあぁ!よくわかってるね~美緒!」



……この悪魔!




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