妄想な彼女
―コツコツ
「っっ!?!?」
聞こえてきた足音に反応し、俺は美緒から離れる
もう、やべーよ。
俺、何やってんだよっ!!
こんな女として見れねぇ奴を……!!
「棗サンっ、棗サン!」
美緒が焦ったように話しかけてくる
「あん?どうしたっ?」
「変な人がっ…」
変な人……?
美緒の目線の先を見ると、帽子を深く被りサングラスをかけた男がいた
あれ?なんか……見覚えあんだけど…っ
「てかアイツ、こっちに近づいて来てねぇ?」
「はい、近づいてきてますっ?どうしてでしょう?」
「俺が聞きてぇよ…」
男は美緒だけを見つめ、歩みよってくる
そして美緒の目の前で立ち止まった
「君、円城美緒…だよね?」
―――え?
男はそう呟くと美緒を見つめニヤリと笑った
「おい!」
俺は思わず美緒を庇うように前に立つ
しかし男は一瞬だけ目を見開いたが、すぐにフッと笑った
コイツ…何者なんだ!?
――続く