黒の三日月
「紗千、溜息吐いている場合じゃないよ。そろそろ決闘するんでしょ?」


ああ、そうだった。物語もそろそろ後半戦って頃に突入し、

とうとうやって来たヒイラギとの決闘。

私の出番の中では1番の見せどころと言ってもおかしくはないだろう。

言われたとおりに思い切りぶつからせてもらうよ。


「それじゃ、はい。これ。猫耳は外してね」


この決闘、リハーサルでは面倒だったから外さなかったけれど、

ヒイラギが演じる魔法使いの過去の話としてやるシーン。

だから猫耳を付けていたら今と過去がごちゃごちゃ混ざってしまう。

一時の猫耳なしは、ある意味嬉しかった。
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