黒の三日月
でもその前にやらなければならない事が2つある。

1つは部活の片付け。そしてもう1つは……。


「全てが終わった頃にお前の元へ行く。逃げるなよ」


突然背後からヒイラギがボソリと誰にも聞こえないような小声で私に言った。

振り向いた時にはもうヒイラギの姿は何処にもない。

逃げる訳ないでしょ、って言いたかったのに。

1時間くらいして片付けが終わっても尚、雨は降り続けていた。

多分明日までやまない気がする。

雨と言う事と文化祭が終わってこれから打ち上げっていうのもあってか、すぐに人はいなくなって行った。

いるのは先生を除いたら私とヒイラギだけなんじゃないかって位に、周りは雨の音以外何の音もなかった。
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