黒の三日月
鍵は閉めて行くからと言って既に他の皆を帰らせている。

私は1人、校舎から少し離れた部室でもある和室に残ってヒイラギを待った。

考えてみれば、何処で待ち合わせとか決めていなかった。

だから携帯で居所を知らせるのが1番手っ取り早いんだろうけど、

ヒイラギは携帯を持っていないと思う。

持っていたとしても絶対にアドレスなんて知りたくはないけどね。


「よく逃げなかったな」


全てが終わって少ししての事だった。

何の気配もなく、ヒイラギがふすまを開けて私の元へとやって来たのは。

一体どうやって私の居場所を突き止めたのか。

……考えるだけ時間の無駄だからやめておこう。

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