黒の三日月
「逃げる訳ないでしょ。約束は約束だから」


ある意味では大きなチャンス。これを逃してしまったら多分ずっといじめレベルの事しか出来ないと思う。

なのに、だ。何故だろう。声が何だかおかしい。お芝居をした後だから?

それは違う。だって枯れている訳ではないから。


「じゃあ、行くぞ」

「行くって何処に」

「体育館に決まっているだろ」


半ば呆れたかのようなその口調。

だったら最初から体育館に来いって指定しておけば良いのに。

そうすれば面倒が省けたと言うのに。
< 116 / 203 >

この作品をシェア

pagetop