黒の三日月
「お前の足元に、あの時の剣がある」


言われて足元を見てみれば確かにそこには剣があった。

何でこんな場所にあるかまでは分からなかった。とっくに処分された物ばかりと思っていたからだ。


「捨てられる前に拾っておいた。さあ、俺は逃げも隠れもしない。手出しだってしない」


ゴクリと息を呑んだ。ヒイラギは保健室で手当てをした時こう言った。


『ではこうしようか。誰もいない放課後に俺を殺させてやる』


と。とうとうその時がやって来た。剣を手に取り、その矛先をヒイラギに向けた。

これでヒイラギを殺す事が出来る。復讐は果たされる。

お兄ちゃんと同じ苦しみを与える事が出来る。それはとても喜ばしい事の筈なのに。
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