黒の三日月
「あのメモ、倉山だったの?」

「そうだよ。俺が書いた。一応知らせておこうと思って」

「何を……」


風が強く吹いた。その強さは前を見ていられなくなるほどの物。

風が止んだ時に、また前を見れば倉山は何時もの制服姿ではなく、

ヒイラギと格好は少し違えども、同じように全身を黒でまとっていた。

黒いネクタイに黒いワイシャツ。少しゴツめなブーツ。

そして手にはヒイラギが持っている物と同じような鎌。瞳の色は濃い藍色に変わっていた。


「倉山、もしかして……」

「今日で全てが終わる。…………俺もヒイラギと一緒なんだよ」


誰かこれを夢だと言って欲しい。全て嘘だ。
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