黒の三日月
その目は力強かった。どうやら本気らしい。私が守られる資格なんて本当にないと思う。

それでも命懸けで守ってくれた。こんな私を好きだと言ってくれた。

きっとこれはしてはいけない恋愛かもしれない。それでも。


「私が死ぬまで何があっても一生守ってよね。私の命を刈って良いのは貴方だけ。
でないとお兄ちゃんが怒る」


冗談っぽく言ったのに、ヒイラギはそれに気付いていないようで。

ふっと嬉しそうに笑って、


「……有難う…………紗千」


初めて名前を呼んでくれた事に私は妙に嬉しくなって、

どうすればいいか分からなくなった。だからとりあえず月を見上げた。
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