黒の三日月
すると彼は漸く言葉をポツリと口にする。


「俺はヒイラギ。終わりの名前を持った者。人間へ終わりを届けるだけの存在」


だろうね。あの時だって私の目の前でそれを平気でやってのけたんだもの。


「試しに待ってお前がどう動くか見たが……やっぱり。
どうしてお前に“今”の俺が見えるのかが、分からない」


今度はまるで私に問いかけるかのような言葉。分からないと言われても。

でも何で?彼はこうして私の目の前にいて、ちゃんと存在しているというのに。


「お姉ちゃん、お姉ちゃん」


友達の家に遊びに行く途中であろう小学1、2年生くらいの男の子が私の傍へとやってくる。
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