黒の三日月
言っても聞かなさそうだからあえて言わないでおく。


「何で私に貴方が見えるか、なんて今は分からなくても良い。私はただ、ただ……」


幾分か落ち着いてから考えてみると、

何で私にヒイラギが見えるかなんてどうでも良いようにも感じた。

だから私は言うべき事を言おうと握りしめた拳を震わす。ちゃんと言わないと駄目だ。


「貴方に復讐する。必ずね」

「……それは無理だ」


せっかく勇気を振り絞って言った言葉なのに、

あっさりと即答で“無理”と言うヒイラギ。余計に腹ただしい。

やってみなきゃ分からないっていうのに。睨むように彼を見つめた。
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