黒の三日月
「勝手にすれば良い。俺はどんな事をされても苦しいとは感じないからな。何故なら……」

「人間じゃないから?」


“よく分かったじゃないか”と言いたかったのか、ヒイラギはコクリと首を縦に振る。


「人間が俺のような死神に復讐を考えるなんてな。バカな奴もいるものだ」


その言葉にカチンと来てしまった私は、思わず彼の頬を殴り飛ばした。

彼の頬は赤くなったものの、彼自身はそれを痛いと感じている様子は全くなかった。


「私は、本気だから……死神だからって何なの? 関係ない! 人殺し!」


正直言えばヒイラギが死神だと言った時、驚いた。

でも人を殺しているし、鎌だって持っていた。

だからそこまでひどく取り乱す事もなく。まるで犬のように吠えるだけ。
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