黒の三日月
「お前のその目は4年前のあの時から変わらないな。
怒りと悲しみに揺れる目。俺はそれが……と、無駄話だったな。
お前にもう1つ言っておく事がある。これから起こること全てに耐えろ。……じゃあな」


私が“待って”と言おうとした瞬間に、また朝と同じような突風が吹き荒れる。

ヒイラギの姿は次に目を開けた時にはもうなく、

代わりに何処からか舞って来た桜の花びらが地に落ちていた。

私の目が何なのかとか、最後に告げたあの言葉が何なのか、とか。

きっと明日になっても教えてはくれないだろう。

そんなのはどうでもいい。今はただ……。
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