黒の三日月
「別に大した事じゃないから良いけど。ていうか相変わらず人気者だよな。夜見って」


どうやら倉山も私と同じようにヒイラギの方を見ていたらしい。

それが全て偽りの事だとしても、何処かの国(何処かは忘れた)の父親と日本人の母親のハーフで、

帰国子女。勉強も出来て、運動能力も平均より少し上。

決して愛想が良いという訳でもないけど、

影のあるミステリアスな雰囲気がまた女の子をときめかせる。

そんなまるで王子様のような人、滅多にいない。

今もなお同じ役者の女の子達は“夜見君”に釘付けと言う訳だ。


「私には何で人気者か分からないんだけど」


「だろうな。岩代、あいつを見る時だけ凄く怖い」
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