黒の三日月
「本当にお前はバカでどうしようもない奴だな……」

「はいはい、ストーォップ! もう少し含み笑いを入れてやってみようか。
からかう感じでさ」


演技指導は徐々にヒートアップをしていき、これでもかと言わんばかりに演技をしても、

NGがすぐに飛んできてしまう。まだ足りないまだ足りない、それの繰り返し。

軽く10回はやり直している気がする。ちょっと疲れてしまう。

でもあんなに熱血だと付き合わない訳にもいかない。

演技って甘く見ていたかもしれない。こんなにも難しい事だなんて思わなかった。


「はい、オッケー! 岩っちゃんもやれば出来るじゃないの!」


……私、やっても出来ない子だと思われていたの?

もしそうだったら軽くショックだけど、褒められたのは素直に嬉しい。
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