黒の三日月
それでもお化け屋敷で、“怖かったら抱きついて良いよ”と言っていたにも関わらず、

優衣が悲鳴を上げて私に抱きついてちゃっていたり、

購買で買った焼きそばを半分こしたりと。こういうのを青春というのかもしれない。

ただ1つを除けば。……ヒイラギと頻繁に出くわしたのだ。

偶然にしては有り得なさすぎる。誰ともクラスとかを回らずに、だ。

でも最後に出くわした時は倉山も一緒だったと思う。

何だか妙に親しげに見えたのか気のせい?


「紗千ー? 黙り込んじゃってどうしたの?」

「……!? あ、ごめん。おはよう。緊張するなあ……」


どうやら黙り込んでしまっていたようで。心配した優衣が私の顔を覗きこんできた。

本当に顔が近すぎたから、真っ先に我に返る事が出来た。驚いたけれどね。
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