=想い=〜返歌〜
雨粒
もう、戻れない想い。
彼女に、告げてからどれくらいたつのだろう……
気が付けば雨が、言葉を失った、二人を濡らしていた。
彼女は、下を向いたまま、動けずにいる。
このまま……
濡れネズミのままでいることが、僕の懺悔なのだ。
彼女の髪から滴り落ちる雨粒。
それが、まるで僕達の思い出を流すように、街灯の光を反射している。
「ごめん」
その一言が言えなくて、彼女の手にそっと触れた。
冷たいその手首に、思わず抱きしめたくなる気持ちを、拳に押し込めた。
彼女から伝わる、思い出たち。
はじめて会った日。
僕が口説いた、その瞬間。
フラッシュバックのように、彼女と重なる。
苦しくて、半歩、後ろにさがった。
アスファルトに打ち付ける、雨に溶けて流れてしまえ。
二人の思い出も、彼女の優しさも、全て……
僕からも……
彼女からも……
なにもかも……
=fin=
彼女に、告げてからどれくらいたつのだろう……
気が付けば雨が、言葉を失った、二人を濡らしていた。
彼女は、下を向いたまま、動けずにいる。
このまま……
濡れネズミのままでいることが、僕の懺悔なのだ。
彼女の髪から滴り落ちる雨粒。
それが、まるで僕達の思い出を流すように、街灯の光を反射している。
「ごめん」
その一言が言えなくて、彼女の手にそっと触れた。
冷たいその手首に、思わず抱きしめたくなる気持ちを、拳に押し込めた。
彼女から伝わる、思い出たち。
はじめて会った日。
僕が口説いた、その瞬間。
フラッシュバックのように、彼女と重なる。
苦しくて、半歩、後ろにさがった。
アスファルトに打ち付ける、雨に溶けて流れてしまえ。
二人の思い出も、彼女の優しさも、全て……
僕からも……
彼女からも……
なにもかも……
=fin=