【短編】コクレン部。-あたしの恋の練習台-
いやいやいや。
その疑問を頭から追い出すために首を振って抵抗する。
まずは聞いてみないと。
「相棒はともかく、あたしたちが掲示板を見ていたのを知っているってことは、先輩って部活やってる人ですよね?」
“冷やかしって”と、膝を抱えて体育座りをして指で床に円を描くという、限りなくベタな落ち込み方をしている先輩に聞いてみる。
すると先輩は、ちょっとだけあたしを見て「・・・・そうだよ」とタコみたいに口を尖らせる。
やっぱりか。
冷やかし気分でついてきたけど、これは悠長に構えていられない。
今すぐお断りだ。
ここに来るまでの途中、先輩はとにかくしゃべりっぱなしだった。
名前、学年、クラス、それはまぁ必要最低限の情報だから、聞いておいて損はなかったんだけど。
それ以外のどうでもいい情報もベラベラしゃべってくるから、あたしはすぐに耳をふさいだ。
それがいけなかったんだ。
その間に部活に関する情報を言っていたかもしれないのに。
うざくても聞くべきだったと、今さらながら反省・・・・。