【短編】コクレン部。-あたしの恋の練習台-
でも、もう遅い!
今からでも断らなくちゃ、このままズルズルと入部・・・・なんてことになりかねない。
あたしはスッと短く息を吸って、落ち込む先輩の背中に言う。
「あのですね!あたしはもともと部活はやらないって決めてこの学校に入ったんですよ。だから、どんな部活であっても入部はしません!お断りです!」
そうキッパリ言って、あたしはプレハブ小屋の扉に手をかけた。
悪いなと感じないわけじゃないけど、あたしはお断りしたんだ。
ホコリ臭くてカビ臭い場所になんか1秒だっていたくない。
そうしてガラガラと扉を開けた、そのとき───・・。
「こんなこと言いたくなかったんだけど・・・・。ちぃーちゃんの噂、知ってるよ」
先輩が反撃に出た。
“噂”という言葉に、あたしの体はビクリと反応する。
あたしの噂・・・・自分でも、それがどういうものか分かっている。
「・・・・それを知ったから、先輩はあたしを部活に誘ってるの? そんなことで噂がどうにかなるわけじゃないことくらい、先輩だって分かるでしょ?」