【短編】コクレン部。-あたしの恋の練習台-
 
“呪いの千景”


それが、中学の頃、陰で言われていたあたしのあだ名だった。

霊感があったわけでもないし、式神を操るとかいう陰陽師みたいなことができたわけでもない。

ましてや呪いなんて、そんな恐ろしいこと、あたしはできない。


「アイツさー、お高くとまって嫌じゃない? また部内で男子をモメさせて廃部に追いやったんだってよー」

「あたしは女子のほうもモメさせたって聞いたよー。ほら、3年のカスミ先輩、呪いの千景に彼氏とられたんだってー」

「うっそー!? マジ?」

「マジ。まただってぇ」


原因は、これ。

生まれたときからつき合ってきた顔だから、自分では特別なんとも思わないけれど。

周りの目というフィルターを通して見たとき、あたしは“美人”の部類に入っているらしいのだ。

それで、1年生の頃からそんな噂が絶えなかった。


そりゃ、部は廃部になりはしたけど・・・・なんでもかんでもあたしのせいにされるのは困る。

呪ったことすらないのに。

本当に呪ってやろうかと思うくらい、女子の陰口は陰湿だった。
 

< 17 / 73 >

この作品をシェア

pagetop