【短編】コクレン部。-あたしの恋の練習台-
 
その中で今でも強烈に覚えているのは、陰口を思い出す過程で出てきた“カスミ先輩”という人。

彼女には、廊下でのすれ違いざまに左頬を思いっきりひっぱたかれたことがあった。


入学後、運動が得意で背もわりと高かったあたしが選んだ部活は女子バスケ部だった。

で、カスミ先輩は副キャプテン。

男子部に、そりゃもうカスミ先輩一筋の彼氏がいて、あたしが入部するまでは超がつくほどラブラブだったらしいんだけど。


夏休みが近づいていたある日、先輩の彼氏に呼び出されて。

『カスミに内緒で俺とつき合ってくんない?』なんていう軽い口調で告白されてしまって。


“カスミ先輩一筋”の裏に隠されていた本性を知ったあたしは、もちろんそんなの断った。

・・・・カスミ先輩の彼氏がサイテー男だっていうのも、あたしの胸にだけしまっていた。


けれど、それがどういうことか、あたしが先輩の彼氏をたぶらかしたって噂になっちゃって。

それで結局、夏休みを待たずして2人は破局。

あたしは、逆恨みしたカスミ先輩に思いっきりひっぱたかれた、というワケだ。
 

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