【短編】コクレン部。-あたしの恋の練習台-

　
けれど、男子をモメさせたというのは本当に覚えがなくて。

だから、聞こえないフリをしながら陰口に耳をそばだてて、情報を得ることにした。


「誰が最初に呪いの千景に告るとか、話しかけるとか、会話をするとか、その順番でモメたって」

「････アホじゃん。それで部の男子たちの仲が悪くなって？　で、収拾つかなくなって廃部？」

「らしいよー」

「ドアホじゃん」

「だってしょうがないよ。あの千景が相手なんだから」

「ま、しょうがないっちゃそうだよね。なんせ“あの”千景だし」


ふぅーん。

そういうことだったのか。

だからあたしは陰口を言われるとき、名前の前に“呪いの”って付けられるんだ。


あたしの解釈が間違っていなければ、あたしがあんまり魅力的だから男子たちが放っておけなくて。

で、誰が先にあたしに告白するかの順番でモメてしまって。

それが男子たちの仲間意識にも悪影響になって、ついには仲間割れを引き起こしてしまった。

それら全てのことが“呪いの”という言葉に集約されている、というところだろうか。