【短編】コクレン部。-あたしの恋の練習台-
でも、どうしてだろう。
先輩があんまり嬉しそうだから、悪い気がしない。
ていうか、あたしもちょっとだけだけど嬉しい・・・・かもしれない。
「じゃあ、体験入部くらいなら。・・・・やってみてもいいですよ」
そしてどうしたことか、次の瞬間には、あたしは自ら入部すると、先輩にそう伝えていた。
「マジでッ!?」
「はい」
「マジでマジでッ!?」
「はい、ってば」
ああ、先輩のキラキラした目、あたしけっけう好きだなぁ。
顔はいいんだから黙っていればいいのに、中身はまるでコドモ。
おちゃらけていて、ちょっとウザくて、マイペースすぎて・・・・でも憎めない、先輩ってそんな人だ。
もう少し、この人のことを───高瀬康介という人のことを知ってあげてもいいかな、って。
そう思うあたり、あたしもちょっとこのおちゃらけ男にやられているのかも。
それを言ったら、オーバーな身振り手振りで『どんだけ上から目線なんだよ!』って突っ込まれそうだけどさ。
でも・・・・。
不思議だけど、そう思う。