【短編】コクレン部。-あたしの恋の練習台-
「で、先輩。肝心なことを聞き忘れてたんですけど、先輩の部活はなんなんですか?」
少し経って、先輩が落ち着いてから聞いてみた。
体験入部するとは言ったけど、結局のところ、先輩がなんの部活をしているかは聞いていないまま。
それに、体験とはいっても、それなりの準備と決心が必要だから。
運動部? 文化部?
あたしは運動のほうが得意だからそっち系だと嬉しいかも。
なんて、久しぶりの部活に期待を膨らませながら先輩を見上げる。
けれど。
「んー、今さらってカンジの質問だなァ。それは、ちぃーちゃんが一番よく分かってるデショ」
と、なぜだか腑に落ちない顔で言われてしまった。
「はい?」
「だからァ、俺はァ」
ごにょごにょごにょ。
まるで秘密を打ち明けるように、先輩はあたしの耳元で囁く。
「・・・・嘘でしょ!?」
「嘘じゃないよー。俺がちぃーちゃんに嘘ついてどうすんの。仲良くしようね、ちぃーちゃん♪」
まさかの展開だ。
まさか、まさかだ。