【短編】コクレン部。-あたしの恋の練習台-
 





「で、先輩。肝心なことを聞き忘れてたんですけど、先輩の部活はなんなんですか?」


少し経って、先輩が落ち着いてから聞いてみた。

体験入部するとは言ったけど、結局のところ、先輩がなんの部活をしているかは聞いていないまま。

それに、体験とはいっても、それなりの準備と決心が必要だから。


運動部? 文化部?

あたしは運動のほうが得意だからそっち系だと嬉しいかも。

なんて、久しぶりの部活に期待を膨らませながら先輩を見上げる。

けれど。


「んー、今さらってカンジの質問だなァ。それは、ちぃーちゃんが一番よく分かってるデショ」


と、なぜだか腑に落ちない顔で言われてしまった。


「はい?」

「だからァ、俺はァ」


ごにょごにょごにょ。

まるで秘密を打ち明けるように、先輩はあたしの耳元で囁く。


「・・・・嘘でしょ!?」

「嘘じゃないよー。俺がちぃーちゃんに嘘ついてどうすんの。仲良くしようね、ちぃーちゃん♪」


まさかの展開だ。

まさか、まさかだ。
 

< 24 / 73 >

この作品をシェア

pagetop