【短編】コクレン部。-あたしの恋の練習台-
「ち、ちぃーちゃん・・・・」
すると、何やら苦しそうに声を絞りだす先輩。当たり前だ、あたしが締め上げているんだから。
あたしは、胸ぐらをつかむ手にさらに力を込めながら吐き捨てる。
「なによ。当然じゃない!言い訳なら聞きませんよ!」
「ちがくて・・・・そ、外」
するとすると、またまた苦しそうにそう声を絞りだす先輩。
だからそれは、あたしが締め上げているからだって!・・・・って。
「外!?」
ハッとして振り返ると、閉めたはずの扉が完全に開いていて。
さっきあたしに拍手を送ったギャラリーたちが、ぽかんと口を開けて中の様子を見ていて。
その誰もが、あたしのあまりの豹変っぷりに驚愕していた。
「嘘ッ!な、なんで・・・・」
「なんでってェ。閉めた反動でまた開いたんだもの、そこの扉。ちぃーちゃんって、意外と力も強かったんだねぇ」
力が完全に抜けたあたしの両手をそっと包み、自分の胸ぐらから下ろす先輩。
その手が思っていたよりずっと熱くて、あたしの意識は一瞬飛びそうになった。