【短編】コクレン部。-あたしの恋の練習台-
この人たちに“あたし”という人物がどう映っているのかは分からないけど。
本当のあたしって、実はけっこう気性が荒かったりする。
先輩はこの通りのおちゃらけ男だから最初から素で接してこれた。
でも・・・・。
この人たちはきっと、自分が思っている“あたし”へのイメージと今のあたしが全然違うから、驚愕って顔をしているに違いない。
どうしよう!!
何か言ったほうがいい?
でも何も思いつかない。
あぁっ!!!!
そう焦りだしたとき・・・・。
ふっ、と、先輩の体が揺れた。
そして、あたしを背中にかばうようにしてギャラリーたちの前へ出ていって。
「さぁさぁ、お集まりの皆さま!我らがコクレン部の見学にようこそいらっしゃいましたッ♪」
まるで、これから大道芸を披露する道化師のように、かしこまっておじぎをした。
「ここに集まってくれたみんなに俺から1つ、言っておきたいことがありますッ」
頭を上げると、そう言ってギャラリーたちをぐるりと見渡す先輩。
次に発せられたのは・・・・。