【短編】コクレン部。-あたしの恋の練習台-
知らないっていうか、率直に言うと知りたくもないっていうか。
だって、絶対アヤシイ。
掲示板の隅っこに、しかもルーズリーフ1枚に“即席です!”って感じで殴り書きしたこの代物。
勧誘ポスターとはとても言えたものじゃないし、第一、部活紹介でも紹介できない部活って・・・・。
こんな部活、学校の許可が下りているのかさえ疑問に思えてくる。
「チカって変なの〜。これ、この学校のジョーシキだよ?」
「・・・・そ、そうなの」
ジョーシキ、ねぇ。
ホントに? マジで?
「あ、ほら!見てココ、女子部員募集してるってー!チカ、入っちゃいなよ!」
ジョーシキと言われてもまだ半信半疑でいると、ルーズリーフのポスターに顔を近づけたサヤが興奮気味にそう言った。
自分だって入りたそうな声のくせに、なぜにあたしに入れと?
「なんであたしが入んなきゃなんないの。そんなに興味があるならサヤが入ったらいいじゃんよ」
「なに言ってんの、チカにピッタリじゃないのさ。あまたの男をフッてきたチカだからこそだよ!」