【短編】コクレン部。-あたしの恋の練習台-
 
「ねぇみんな、ホントのちぃーちゃんを知っててここに来てる?」


さっきまでの口調とは全然違う、静かな・・・・でも怒りが込められたはっきりとした問いかけだった。

その問いかけに対して、何人かのギャラリーが「どういう意味?」とつぶやく。


あたしも、先輩が何を言いたいのか分からなかった。

あたしをかばったくれた、広い背中を見つめて思う。

どういう意味?


「ホントのちぃーちゃんはねぇ、すっごくイイコなんだよ。みんな誤解してる」


誤解?

もしかして先輩、その誤解を解くためにわざと今日、学校中に触れ回ったの?

こういう噂になんかてんで疎そうな先輩が、昨日の時点であたしの噂ことを知っていた。

・・・・ということは。

そっか。


「この中の誰でもいいよ。誰か1人でも、ホントのちぃーちゃんを見ようとしたことある?」


もういいよ、先輩。


「くだらない噂なんか抜きにしてさ、誰か真っ白な心でちぃーちゃんを見たことある? ねぇ、いたら返事してよ」


もういいって、先輩・・・・。
 

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